夏の終わり~なんとなく物寂しくなるとき

夏の終わりになると、
「特に何かあったわけではないのに、なんとなく物寂しい」
そんな気分になることはありませんか?
日中はまだ暑いのに、朝晩の風が少し変わってきたり、日が暮れる時間が早くなったり。
台風や雨の日が増え、明るかった夏の空から、少しずつ季節が移り変わっていくのを感じる時期でもあります。
季節のうつろいは、私たちの心にもさまざまな形で影響することがあります。
季節や天候と気分には関係がある?
「天気が悪いと気分まで沈む」
「秋になると、なんとなく寂しくなる」
こうした感覚はよく聞きます。
実際に、気温・風・日照・雨・気圧・日照時間などと、日々の気分との関係を調べた研究があります。
1,233人の日常の気分と気象データを組み合わせて調べた研究では、気温・風・日照などと、気分や疲労感との間に一定の関連がみられました。
ただし、天候が気分に及ぼす平均的な影響は大きなものではなく、特に日照時間などへの反応には個人差があることも示されています。
季節の変化をあまり気にしない人もいれば、朝晩の空気や光、気温の変化を敏感に感じる人もいる。同じ季節を過ごしていても、その感じ方は人それぞれなのです。
夏が終わる、ということ
季節の変化には、身体的なゆらぎだけでなく、心理的な側面もあります。
夏休み、旅行、イベント、長い日差し、家族との時間。
その季節に結びついた出来事や記憶は、人それぞれにあります。
夏が終わるということは、単に気温や日照時間が変わるだけではなく、
ひとつの季節、ひとつの時間が終わっていくこと
でもあります。
身体が環境の変化を受け取っていること。
日々の生活リズムが少しずつ変わっていること。
そして、季節に結びついた記憶や出来事に心が反応すること。
夏の終わりの物寂しさには、そんなさまざまなものが重なっているのでしょう。
少し切ないその感覚は、四季のある日本独特の「わびさび」だとも感じます。
できれば、その感覚を楽しめるくらいの余裕が持てるように、心身を整えたいものです。
そうすればきっと、夏の思い出は、いつもの日常に戻るための小さな力になることでしょう。
寂しさを紛らわせたい時は
少し心を休めてみる。
ひとりで静かに、自分の心と向き合うのも一手。
誰かと少し話してみるのも、一手です。
たわいもない会話。
くだらないことで笑う。
そんな時間で、ふっと気分が変わることもあります。
「ちょっとした会話」も、人とのつながり
心理学では、親しい家族や友人だけではなく、知人や日常で出会う人との軽い交流についても研究されています。
ある研究では、普段より多く知人と交流した日に、幸福感や「人とつながっている」という感覚が高かったことが報告されています。
深い話をする関係だけが、私たちを支えているわけではないようです。
いつものお店の人と交わすひと言。
顔見知りとの立ち話。
「暑いですね」
「ほんとですね」
そんな小さな会話も、人とのつながりのひとつです。
日本でも「雑談」と心の健康が研究されています
日本の中高年を対象にした研究では、コロナ禍によって雑談の機会が減ったと感じた人ほど、心理的な幸福感が低く、孤独感が高かったことが報告されています。
また、人には他者とのつながりや、「自分はここに属している」という感覚を求める、基本的な欲求があると考えられています。
なんとなく寂しい時に誰かと話したくなったり、人の気配が恋しくなったりすることも、自然なことなのでしょう。
私たちも自然の一部
どれほど人工的な環境で暮らしていても、私たちの身体そのものが自然の一部であることは変わりません。
呼吸し、眠り、食べ、体温を調節し、疲れれば休もうとする。
身体は毎日、周りの環境に合わせながらバランスを取り続けています。
そして、身体と心は別々に存在しているわけではありません。
疲れていると、いつもなら気にならないことが気になったり。
身体が少し楽になると、気持ちまでふっと軽くなったり。
いつも無意識に頑張ってくれている身体を労わることは、自分の心を大切にすることにもつながっているのだと思います。
当院が大切にしていること
当院では、身体を整えることだけを目的にしているわけではありません。
今日は何も話したくない。
今日は少し話したい。
今日はくだらないことで笑いたい。
今日はもう、眠ってしまいたい。
その日の気分のまま過ごしていただける時間を大切にしています。
施術を受けて、身体が少し楽になること。
それと同じように、
「少し気持ちが軽くなった」
「なんとなく、いい時間だった」
そんなふうに感じて帰っていただけることも、大切なケアのひとつだと考えています。
夏の終わり。
なんとなく物寂しくなった時には、心にも身体にも、少しやさしい時間を。
~眠ってちゃんと回復する身体へ~
参考文献
- Denissen, J. J. A., Butalid, L., Penke, L., & van Aken, M. A. G. (2008). The Effects of Weather on Daily Mood: A Multilevel Approach. Emotion, 8(5), 662–667.
- Sandstrom, G. M., & Dunn, E. W. (2014). Social Interactions and Well-Being: The Surprising Power of Weak Ties. Personality and Social Psychology Bulletin, 40(7), 910–922.
- Murayama, H., & Sugawara, I. (2022). Decreased Frequency of Small Talk Due to the COVID-19 Pandemic Has Deteriorated Mental Health: Findings From Longitudinal Surveys of Middle-Aged and Older People in Japan. Asia Pacific Journal of Public Health, 34(5).
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