更年期症状に整体はよい作用があるのかザックリ述べてみました
この見出しのまとめは一番下にあります。
更年期症状の軽い・重いはなぜおきる?
更年期の時期には仕事の責任が増したり、親の介護や子供の受験などが重なってしまうことも多いです。そんな外的要因もストレスとして更年期の症状に影響を及ぼしたりします。女性は平均50才前後で閉経し、閉経前後の5年の計10年が更年期といわれています。閉経の数年前になると、月経周期が乱れてきたり肉体的・精神的に様々な不定愁訴が現れてきます。
更年期の症状が軽い・重いはベースとなる遺伝的体質や性格の上に、上記要因が加わって決まります。体質や性格は忘れられがちですが、多かれ少なかれ関連してきます。ただ「母親が更年期症状が重くて長かったから自分もそうだったらどうしよう」などと不安に感じることはありません。何故なら父親に似ているかもしれないし、隔世遺伝しているかもしれないですから。
軽い人は普段と何も変わらない体調で、月経や周期の乱れだけで閉経に至った方です。しかし私的には絶対なんかあると勘ぐっていて、質問してしまいます。例えば「いつもより肩こりが酷くなかった?」「イライラしたりせんかった?」等々。そう尋ねると「あぁそんな気もするかなぁ」とやさしく?話を合わせてくれたりします。私自身は絶対なんかあるに違いないと信じている(笑)ので、きっと症状はあったんだけどこの人の性格では気にならんかったんだろうと思うのです。こういう普段少々の不調など気にしない・気にならないタイプの方は実際に症状が軽い方が多いように感じます。長年整体の仕事をしていると、ストレスが様々な症状を重くしていると感じますし、性格も症状に関係することがあるような気がします。
女性ホルモンバランスの乱れは脳を混乱させる
脳の視床下部から性腺刺激ホルモンが分泌され下垂体の卵胞刺激ホルモンと黄体形成ホルモンが分泌されて卵巣から女性ホルモンが分泌されますが、多い少ないを脳に伝える役割もあります。卵巣が女性ホルモン少ないよと連絡したら、ほな出さなあかんと脳が過剰にホルモンを出してしまい、でも卵巣からは女性ホルモンがもう出ない…脳は、ほなもっとホルモン出さなあかん…でも卵巣からは出ーへんよ…と脳と卵巣の連携が悪くなりホルモンバランスが乱れて様々な不快症状が出るようになります。
また体の中のあらゆる細胞がエストロゲンに対する受容体を持っています。エストロゲンが少ない状況が長く続くと、記憶力低下や血管老化、骨がもろくなったり、生殖器の萎縮したりしてきます。またホルモンは連携し合って体の恒常性(平熱の36度を保つなど)を維持しているので、そのバランスが乱れると不調として表れてきます。更年期の卵巣機能低下による女性ホルモンの乱れが脳を混乱させるだけでなく、同じ時期に様々なストレスが重なれば、脳にとってはダブルパンチになり症状が酷くなる場合もあります。
更年期は自然なこと
地球上では時間が過ぎれば、一部の生物を除いてどんな生物でも衰えてくるもので、ヒトも年をとれば徐々に老いていくものです。
人間をヒトという一生物として考えると、生まれて成長し(生殖するしないに関わらず)何れ生殖機能が衰えて消失し老化して終焉を迎える、という自然の摂理で生きていて、それは他の多くの生物と同じような一生です。ただ頭でっかちになったヒトが生きている世界では、そう簡単なことではなくなりました。猿が祖先なのか、魚が祖先なのか、植物が祖先なのか、単細胞生物が祖先なのか、元素が祖先なのか、宇宙人(笑)が祖先なのか分かりませんが、同じ地球上で生きている生物なのに人間世界は他の生物世界とはかけ離れた世界になってしまいました。文明の発達した先進国では、何が自然かも分からなくなってきているのかもしれません。
人間の一生の内に体質が変わる時期があると言われています。東洋医学では2000年ほど前から女性は「7」倍数で、男性は「8」の倍数で体が変わると記されていましたが、現代の医学でもほぼ同じような捉え方をしているので、時が経てもそう簡単に生物は変わらないことが分かります。なので数百年程度の急激な変化では、何十万年のヒトの遺伝子に組み込まれたものを変えることはできません。したがって例えば社会のあらゆる部分でのコンピュータ化など、急激に人工的に変わっていく社会にうまく対応できずに、不具合が生じる人間も出てきます。
胎児のころは700万個、赤ちゃんのころは200万個、月経が始まるころには20~30万個に減る卵子(卵母細胞)ですが、月経ごとに毎回約1000個ずつ減っていき、閉経で0になります。女性ホルモンといわれるエストロゲンとプロゲステロンの分泌が徐々に減り始めて、卵巣では作られなくなります。エストロゲンに対する受容体が体内に広くあってその急激な分泌量の減少によって、様々な更年期症状が現れるのではないかといわれていますが、まだ完全には解明されていないようです。
更年期の症状には遺伝的要素は関わってきますが、そればかりではありません。日々の生活も大いに関わってきます。閉経後も(卵巣から分泌されていた量や質には遠く及びませんが)エストロゲンは0にはなりません。副腎皮質で作られるアンドロゲンという男性ホルモンが脂肪細胞の酵素でエストロゲンに変えられます。エストロゲンに守られていた血管や骨などが守られなくなると、動脈硬化や骨粗しょう症など色々な病気にかかるリスクが増します。もしもあなたがより健やかな老いを求める方なら、諦めずに出来ることをやってみましょう。人間の頭でっかちな構造上、幸福度が高いほど老年期も健やかに過ごしていけるようです。他人の尺度からではなく、自分自身のこころ(脳)の幸福度です。更年期は老年期に続いている道の途中ですが、ゆったりと美しく整備された道を楽しみながら歩みたいものです。
更年期の諸症状
更年期の症状は個人によって異なる場合がありますが、一般的に次のような症状があります。
・ホットフラッシュ(ほてり): 突然の体のほてり感、顔や首のほてり、発汗などを伴うことがあります。夜間のホットフラッシュは、夜汗として知られることもあります。
・睡眠障害: 更年期の女性は、不眠や睡眠の浅さ、夜間の目覚めの頻度の増加などの問題を抱えることがあります。これらの睡眠障害は、日中の疲労感やイライラ感を引き起こすことがあります。
・気分の変化: 更年期には、情緒的な変化やイライラ感、不安感、抑うつ感などの気分の変化が現れることがあります。これは、ホルモンバランスの変化による神経系への影響によるものと考えられています。
・不規則な月経: 更年期に入ると、月経の周期や量が不規則になることがあります。月経周期が短くなったり、逆に長くなったり、月経量が減少したり増加したりすることがあります。
・肉体的な変化: 更年期には、体重増加、皮膚の乾燥、骨密度の低下、関節の痛みやこわばり、頭痛などの肉体的な変化が現れることがあります。
・性的な変化: 更年期には、性欲の低下や性的な関心の減退が起こることがあります。また、性行為時の不快感や乾燥感も報告されています。
これらの症状は個々によって程度や頻度が異なります。ここで気を付けないといけないことは、更年期以外の要因によって引き起こされる可能性もあるため、自分でもおかしいなと感じたり、症状がひどい場合はまずは婦人科を受診することも大事です。
更年期症状~婦人科では?
更年期障害の婦人科での一般的な治療方法を簡単にご紹介しておきます。
・ホルモン療法 (Hormone Replacement Therapy, HRT): HRTは、女性の体内で減少するエストロゲンとプロゲステロンの補充を行う治療法です。これは、ホルモンのアンバランスによる不快症状を軽減するのに用いられます。HRTは経口薬、パッチ、クリーム、ジェルなどの形で処方されます。ただし、HRTは特定のリスクを伴うことがあり、医師との十分な相談が必要です。
・非ホルモン療法: HRTが適さない場合は、漢方薬、抗うつ薬、抗不安薬など、ホルモン以外の薬物を用いられます。これらの薬物は更年期の症状を緩和することがあります。
どんなお薬にもリスクは多少あるもので、人工HRTもリスクに関しては色々と検証されているようです。今では保険診療外の天然ホルモンもあるようですが、専門外なので詳しくは検索されてみてください。ただ人工ホルモンと天然ホルモンではその分子構造が違うようで、人の体に与える影響も少し違うかもしれません。人工ホルモンが悪いとかではなく、信頼できる医師に処方していただけるのがベストです。私自身はホルモン療法をまだしたことはありませんが、クライアント様には時々おられます。
ホルモン療法だけでも取れない不快症状もあるようで、お薬と併用して体を整えるために当院へ来られている方もおられます。日常で軽い運動をしたり食べ物に気を付けるなど、ご自身で取り入れてみることもおススメです。
更年期に自分でできることは?
・軽い運動…ウォーキングや山登りもよし、おうちでストレッチやヨガでもよし、ジムに通うもよし、ヨガやピラティスや各種ダンスなどもよし、好きなスポーツもよし、パーソナルトレーニングもよし…なんだっていいと思いますが、楽しく続けられるものを選びましょう。
体を動かすことで血行がよくなり、血行がよくなると体も軽くなり軽微な不調は気にならなくなります。そうすれば心も軽くなり気分は爽快、つまり脳によい影響を与えます。そうすれば脳からの例えば幸せホルモンのオキシトシンの分泌もスムーズになり体にもよい影響が出てきます。
体を動かすのが好きではない方は、普段の生活で遠回りして歩いたり、階段を使ったり、こまめに動いたりだったらできるでしょうか?どうしても運動が必要だと感じない限り、なかなか続かないものです。どうしても続けられない方には整体をオススメします。自分はあまり動かないで体を活性化できるからです。それさえ続かない方はメンタルな部分をどう変化させていくかが課題です。
・良い睡眠…ストレスが強すぎたり、運動不足になると更年期でなくとも自律神経のバランスが乱れて睡眠に障害がでてくる場合があります。
就寝時に脳の下垂体から分泌される成長ホルモンですが、22時~2時の間がゴールデンタイムだとよく言われますが、時間に関係なく入眠から3、4時間した頃に分泌されます。なので、4時間未満の睡眠だと時間がたりませんので、7時間程度の睡眠時間を確保しするようにしましょう。日本は世界で上位にくる平均睡眠時間の短い国なので、7時間は難しい方もおられるでしょう。ただ7時間~7.5時間が一番病気になりにくいと検証されていますので、不調の方は少しでも睡眠時間の確保に努めたいものです。
・食事…ありきたりですが、バランスのよい食事や食事時間をできるだけ定時にすること、咀嚼をしっかりすることや楽しく食べることも大事です。
特に大豆に含まれるイソフラボンは植物性エストロゲンともいわれ、イソフラボンの化学構造がエストロゲンに似ているため、体内の受容器が間違えて受け取りエストロゲンのような作用をして更年期の不快症状を緩和するといわれます。ただ体内でイソフラボンがエクオールに変換できるかどうかは個々が体内に持つ微生物よりますので、変換できない人はあまり効果がないようです。
・楽しい事をする…これは人それぞれで楽しいと感じることが違いますので、なにがいいとは一概に言えませんが、中でも大事なことは多かれ少なかれ自分以外の人との交流を持つということは大切です。コロナ禍でオンラインミーティングが浸透し、その簡易性や利便性が必要な場合もありますが、直接人と接することは人間の五感を刺激し、正常な(自然な)身心機能を促しますので、できれば対面がよいです。視覚・聴覚・嗅覚・触覚・味覚(飲食があればなおいいですね)の刺激だけではなく、皮膚を通して皮膚受容器や常在菌による体内への刺激もありますので、直接対面で人と交流することがご自身の健康にも役立てられます。気のおけない家族や友人や恋人や趣味などの仲間のほうがよりよいですが、近所の人や知人や何かのお世話になっている方、旅先で出会った方でも構いません。みなさんのご縁のある方はそれぞれおられると思います。ただストレスを感じる人や不快になる人と交流せざるを得ない場合は、その都度対策を考えてみましょう。
中にはひとりで何かに没頭しているほうが楽しい方もおられるます。どうしても人と接触されたくない方は別の楽しみでもいいでしょう。ただ不調が酷くなるのが孤独と関係があるならばまた対策を考えてみましょう。
更年期症状に整体はどう?
当院の整体施術で主なものは筋膜バランスを調整して体液の流れを促し、姿勢バランスを少しずつ変化させて脳に記憶させてき不調を軽減する方法です。それと同時にツールエクササイズで体幹に刺激を送り、バランスのよい体の使い方を取得していってもらいます。日常生活で自然によいバランスで動けるようになれば、また不調を予防することにもなります。
更年期症状に関して施術後すぐに分かるのは、リラックスできて流れがよくなり軽くなることです。それだけだとリラクゼーションと変わらないように感じられるかもしれませんが、継続すれば少しづつ姿勢バランスが変わってきます。バランスの変化は当院では画像姿勢評価として数ヶ月に1度撮影してチェックし共有しています。ご自身が自分の状態を視覚的に確認することで、より早い体の変化を引き出していきます。
更年期症状はすぐに治まるものではありませんが、必ず少しづつ上向きになってくる過程をご自身で感じられるようになります。それは施術技術によるものもありますが、人の手の持つ力やコミュニケーションの力もあります。この先更にコンピューター社会が進んでいきますが、人to人の持つ素晴らしい力がそんなに急に変わることはないでしょう。いつか未来ショボくなっても細々と引き継がれていくような気がします。